[会計不正]第三者委員会の経費補償特約

 毎日新聞の報道によれば,東京海上日動火災保険が,会社役員賠償責任保険に,不祥事を起こした企業が原因究明や再発防止策作成のために設置する第三者委員会の活動費を補償する特約を新設するということです(平成27年4月から)。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150207ddm008020122000c.html

 記事によれば,このタイプ補償が特約として附された保険は昨年7月からAIU損害保険が発売していますが,その補償額は1,000万円だということです。一方,今回の東京海上日動火災保険の特約は補償額が5,000万円で,しかも,新設される特約は追加の保険料は不要ということですから,会社役員責任賠償保険(D&O保険)を乗り換える上場企業が増えるかもしれません。

 第三者委員会の調査費用は開示が義務づけられていないため,実際にどの程度の費用がかかっているか,よくわからない面もありますが,昨年,3回にわたって第三者委員会をせっつぃて話題になったジャパンベストレスキューシステム株式会社が,平成26年8月11日に公表したリリースには次ような記載がありました。

 第三者員会による調査費用等として,過年度決算訂正関連費用(特別損失)を93百万円計上いたします。

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1174954

 公表はあくまで「調査費用等」となっておりますので,会計監査人に対する報酬などが含まれていることも予想されますが,記事によれば,東京海上日動火災保険は,この5,000万円という上限額を,過去の事例を踏まえて設定しており、「必要経費のほぼすべてをまかなえる」とみているようですが,もしかしたら,5,000万円では足りないのではないかとも思ったりします。

 なお,ジャパンベストレスキューシステム株式会社が計上した特別損失は,第1次第三者委員会に係るもので,第2次,第3次調査に要した費用については,個別には開示されていないようです。