ギャンブル依存国家・日本?パチンコからはじまる精神疾患? (光文社新書)
- 作者: 帚木蓬生
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/01/23
- メディア: Kindle版
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精神科医・帚木蓬生氏による,日本政府のギャンブル政策に対する批判の書です。
いわゆる公営ギャンブルや宝くじが,所管する中央省庁の天下り先になっていることは,よく知られていることですが,それにしてもひどいものだなと思います。
競馬:農林水産省
宝くじ:総務省
パチンコ・スロット:警察庁,公安委員会
帚木先生の批判の矛先は,こうしたギャンブルを規制する意思を待たない厚生労働省,広告収入のためにギャンブルを奨励しているかのようなマスコミ,ギャンブルによる借金に関する債務整理を数多く手掛けながら,借金の原因になったギャンブルを取り締まることを求めない法律家,そして,「ギャンブル障害に効く薬がない」ことを理由に,500万人とも言われるギャンブル障害を持つ患者に関心を持たない精神医学界へも向います。
本書は,パチンコ・スロットをきっかけにギャンブルにのめりこんでいく多くのギャンブル障碍者に,国家としての日本を重ね合わせるかのような内容で,カジノを作るより以前に,まずは,パチンコ・スロットにのめりこんでいる多くのギャンブル症者をどうすべきなのかを考えるべきであるという,きわめて当たり前のことを主張しているわけですが,政権与党んは,こうした声は届かないのでしょうか。いえ,カジノ応援団ともいうべき「国際観光産業振興議員連盟」には,共産党と社民党を除くすべての党から国会議員が参加し,20を超える全国の首長がカジノ誘致に手を挙げているそうですから,むしろ,これらのみなさんには,ぜひ,帚木先生のクリニックを実際に訪ねられたり,ギャンブル症者のみなさんの自助グループに参加してほしいものだと思います。