田中周紀『TVニュースのタブー――特ダネ記者が見た報道現場の内幕』

 

TVニュースのタブー 特ダネ記者が見た報道現場の内幕 (光文社新書)

TVニュースのタブー 特ダネ記者が見た報道現場の内幕 (光文社新書)

 

 2011年に発刊された『国税記者』を読んで以来,田中周紀さんの著書は,目についた段階で読むようにしてはいたのですが,この本の発刊に気づくのが遅れ,先日,ようやく読み終えました。

共同通信とは何か。共同通信という活字媒体の記者からテレビ朝日という映像媒体の記者・ディレクターとして転身するにあたっての違和感。約5年10か月もの長い期間,国税担当記者であった著者の「映像へのこだわり」。古館さんの降板が初発表された『報道ステーション』の前身である「ニュースステーション」がどのようにして作られていたか,なぜ,あれだけ視聴者に影響を与え続けたのか――。

国税局査察部による告発段階での「隠し撮り」映像の公表について,著者は,告発=起訴=有罪判決,という「無謬性」を根拠にTV局幹部を説得したということでしたが,本書発刊後,「クレディ・スイス証券事件」被告人の無罪判決が確定したことから,著者自身も「再考が必要になる」と述べているように,今後は,「推定無罪」の原則が強く意識されることになるのでしょう。