日本CSR普及協会主催セミナー「会計不正の危機対応」

 日本CSR普及協会が主催する「会計不正の危機対応~企業はどう備え,どう対処すべきか~」に出席しました。

日本CSR普及協会 | セミナーのご案内

 前半は,会計不正の発覚後の実務の流れを9つのフェーズに区切って,架空循環取引が発覚した上場会社を事例としてとりあげて,解説。

フェーズ1 会計不正の発覚

フェーズ2 初動調査 着手・実施

フェーズ3 対応方針の決定

フェーズ4 第三者委員会の設置

フェーズ5 第三者委員会の調査

フェーズ6 調査報告書の作成・提出

フェーズ7 財務情報の修正及び当局への各種対応

フェーズ8 訴訟等責任追及への対応

フェーズ9 再発防止策の導入及び社内体制の刷新

 証券取引所の措置としては,厳しいものから順に,「上場廃止」。「特設注意市場銘柄指定」,「改善報告書の徴求」,「公表」があるが,東京証券取引所が平成25年6月に公表した「特設注意市場銘柄の積極的な活用等のための上場制度の見直しについて」というリリースからは,すぐに上場廃止ではなく,特設注意市場銘柄に指定して,改善を求めていくのが基本方針なのではないかという,登壇者の解説に大いに納得しました。

www.jpx.co.jp

 後半はパネルディスカッション。パネラーの中に二人,知己の弁護士がいて,司会者から「公認不正検査士の資格も有している」という紹介がありました。

 ディスカッションというよりは,設定された質問項目にそれぞれのパネラーが答えていくという格好で進められていて,議論を戦わせる場にならなかったのは残念でしたが,多くの論点で,様々な知見が披歴されました。これだけの実務的手続きを限られた時間で解説する以上,一つの論点で突っ込んだ議論をするのは難しいなぁというのが素直な感想でした。

 折りも折り,東証からは「上場会社における不祥事対応のプリンシプル(案)」が1月22日に公表されたばかりであり,その内容を織り込んだディスカッションを聞くことができて,有意義な時間を過ごすことができました。