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東浩紀『一般意志2.0ルソー,フロイト,グーグル』

 ある時期,東日本大震災よりも前に書かれた思想書,哲学書などにあまり意味を見いだせないというか,「この方たちも,あの震災後は考え方を変えてしまっているのではないか」という思いから,距離を置いていた気がします。

 本書は,震災前に雑誌の連載されたものを震災から半年あまり後に単行本化されたものです。

 東さんは本書冒頭の「単行本版序文」でこう書いています。

 震災,とりわけ福島第一原発の事故は,多くの前提を変えてしまった。日本の社会と文化をめぐる言説は,震災前と震災後の間で大きな楔を打ち込まれてしまった。

 この現状認識には,小職も同感です。

 そのうえで,あえて,内容に大幅な修正を施さずに単行本化し,さらには文庫本となった本書を読んでみたいと思いました。

  読んでいる最中に,「保育所落ちた」事件が発生しました。

 匿名のブログを受けて国会で安倍首相を追及する質問があったり,厚生労働大臣が待機児童問題の実態調査に乗り出さざるを得ない状況が作出されたり――これは,東さんの言う「一般意志2.0」が実際の国政に影響を与えた,ひとつの例示となったかと思います。