「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

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 連載第46回は,日本ハウスホールディングス(旧社名:東日本ハウス)の連結子会社による不正事件をとりあげました。売上の過大計上などの不正があった子会社は,「銀河高原ビール」の製造元です。一時はコンビニエンスストアの店頭でも入手できたり,JR東日本とタイアップした販促活動なども行っていたように記憶しています。いわゆる「地ビール・ブーム」で参入したビールメーカーの中では,かなり知名度の高いメーカーです。それだけの知名度があっても,大手ビール会社に対抗して利益を上げていくのは大変なこと――そんな現実を垣間見せられた調査報告書でした。

 昨年来の会計不正事件の特徴は,「傍流子会社」「隔地子会社」において発生し,発覚までの期間が長いことにありますが,本件もまた,同様な特徴を有しています。

 住宅建設業を本業とする親会社からすると,売上規模が小さく,しかも本業とはかけ離れたビール事業に経営資源を投入できないのは仕方のない判断かもしれませんが,調査委員会による調査,過年度決算の訂正など,不正発覚後のコストを考えれば,管理部門による牽制,監査部門による業務監査において,もう少し打っておくべき手があったのかもしれません。

 次に銀河高原ビールを店頭で見つけたら,ぜひ,買って飲もうと思いながら,原稿をまとめました。