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書籍『東芝 粉飾の原点――内部告発が暴いた闇』

 

東芝 粉飾の原点 内部告発が暴いた闇

東芝 粉飾の原点 内部告発が暴いた闇

 

 

 今から思い出しても,昨年11月12日の日経ビジネスオンラインのスクープ記事「ウエスチングハウスの減損処理」は驚きでした。東芝経営陣が繰り返し「原子力関連事業は好調」と説明した来たことを真っ向から否定する内容は,日経ビジネスへの800人に及ぶ内部告発者から寄せられた情報をもとに,裏付け取材を重ねたものであったことが,本書で明らかにされています。

 内部告発

 東芝事件は,もともとは証券取引等監視委員会に対する内部告発がきっかけとなって発覚したものでした。1件の勇気ある内部告発が大規模な会計不正事件解明の端緒になったのは間違いないのですが,それでも,様々な手段を講じて事件の矮小化を図る東芝経営陣に対して,日経ビジネスをはじめとするマスコミが追及の手を緩めることなく,事実の公表を求めて記事を流す。そうした記事を書くための材料として,数多くの「内部告発」が寄せられ続ける。

 以前とりあげた,『東芝 終わりなき危機――「名門」没落の代償』と本書は,同じ事件を題材にしながら,ニュース・ソースや取材の観点の違いから,異なった視点での文章となっており,併読するとたいへん興味深いものがありました。

 ただ,読後の感想は変わりません。

 東芝事件はまだ終わっていないこと。

 企業は,従業員が内部告発という手段をとらずに,内部通報を選んでもらうために何をなすべきかを今一度考えなおさなけれならないこと。

 内部通報が有効に機能するためには,経営陣に対する従業員の信頼が不可欠です。日経ビジネスに寄せられた数多くの「内部告発」の一部を読ませていただいた限りでは,東芝の再建はまだまだと感じます。