書籍『リベラルのことは嫌いでも,リベラリズムは嫌いにならないでください』

  井上達夫教授の著作を2冊,続けて読みました。

 憲法9条の削除,良心的兵役拒否を認めたうえでの徴兵制の導入,という教授の持論が,毎日新聞社の志摩和生さんとの間の会話というかたちで,展開されています。 

 

 読んでいる最中にちょうど,天皇陛下のお言葉があり,天皇制に関しても,井上教授が以下のような発言をしていて,なるほど,そうした考えもあるのかと思いましたので,引用しておきたいと思います。

天皇・皇族を自己のアイデンティティのために「使っている」のは国民だ。天皇・皇族には職業選択の自由はない。政治的言動も禁じられ,表現の自由もない。天皇制は主権者国民が皇族を奴隷化するという意味で,最後に残された奴隷制天皇制は反民主的だからでなく,民主的奴隷制だから廃止せよ,というのが自説です。

 極端な議論ではあると思いますが,自ら生前退位を選択することもできず,それを主張することすらできないという,天皇陛下のお気持ちの表明をお聞きしたあと,井上教授の主張を読むと,最初に読んだときとはまた違った思いがするのも事実です。

 「憲法の涙」の方では,井上教授が他の憲法学者の主張を一刀両断にしており,こちらも非常に興味深く,読みました。