書籍 横尾宣政『野村證券第2事業法人部』

  めずらしく,アマゾンで予約をして購入しました。

 著者は,「オリンパス巨額粉飾決算事件」で,検察から「粉飾を指南した」として起訴された元野村證券社員。第三者委員会の調査報告書,マスコミ報道とは異なる事件の裏側がわかるのではないかと期待して,読みました。

野村證券第2事業法人部

野村證券第2事業法人部

 

  本書は全部で11章からなっていますが,とりあえず,バブル時代の昔話が語られている(と思われる)前半部分はパスして,オリンパス事件へと関与することとなっていく第7章「さらば,野村證券」から終章である第11章「逮捕――私は闘う」までを読み終えました。

 いくつも,これまで報道されていない事実が述べられていました。たとえば,横尾氏が詐欺事件で追起訴されていたこと。あるいは,保釈されなまま966日も勾留されていたこと。1審と控訴審で判決の前提が大きく異なっているにもかかわらず,控訴を棄却していること,など。

 オリンパス経営陣の訴訟については,かなり多くの報道があったと記憶していますが,横尾氏ら,いわゆる「指南役」の訴訟については,あまり報道がなかったので,知らないことの多さに驚いた次第です。

 読んでいて,とても文章を書くのが巧い人だなぁと感心していたのですが,奥付の前ページに「取材・構成 田中周紀」とあるのを発見して,おおいに納得しました。本ブログでも一度,著作をとりあげさせていただいたことのあるジャーナリストが参画していたのでした。

 実刑4年の判決を不服として上告中の横尾氏の主張を,最高裁が認めるかどうか。はっきり言って非常に難しいというのが一般的な見方だと思います。とはいえ,やはり結果は気になるところです。