「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

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 昨年6月から7月にかけてのアスカ監査法人所属の公認会計士のみなさんは,たいへんな日々を送っていたのではないかと思われます。インターネット情報がどの程度性格なのかはわかりませんが,おそらくは20社程度と推測される上場会社のクライアントのうち,実に3社が,相次いで,調査委員会の設置を必要とする事態に陥っていたからです。株式会社メディビックグループが7月5日に第三者委員会の設置を公表。7月20日には,サイバーステップ株式会社とモジュレ株式会社が,何と同日に,調査委員会の設置を公表します。

 今日,Profession Journal誌上で公開されたのは,このうち,昨年11月に上場廃止となったモジュレ株式会社の第三者員会による「調査報告書(中間)」についての寄稿した記事です。(中間)とありますが,結果的には,調査期間中にもじょれ株式会社の上場廃止が決まってしまったこともあってか,「最終報告書」は公表されていません。

 報告書を読んでの率直な感想は,安易な粉飾決算をしなければ,上場廃止になることもなく,取締役・監査役の全員が退任する事態を出来することはなかったのではないかというものでした。孤立する創業社長をサポートする取締役や監査役,顧問弁護士などが,適切な対応を進言できていれば,少なくとも上場廃止になるような財務内容ではなかったはずです。

 東京商工リサーチ社の調査によれば,2016年の「不適切な会計・経理の開示企業」は過去最多の57社に達したそうです。4月から6月にかけては,3月末決算企業の会計監査の過程で多くの「不適切会計」が指摘され,調査委員会の設置が公表されるというのが例年の傾向ですが,さて,2017年はどうでしょうか。

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