「会計不正事件における当事者の損害賠償責任」Profession Journal誌に寄稿しました。

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「会計不正調査報告書を読む」と「租税争訟レポート」という2本の連載記事を寄稿させてもらっているweb情報誌Profesion Journal誌上で,新しい連載記事「(判決から見た)会計不正事件における当事者の損害賠償責任」を全6回の予定で,開始しました。連載の狙いとして,次のように書かせていただいています。

去る平成28年12月20日,東京地方裁判所は,株式会社エフオーアイの会計不正により損害を受けた個人株主らを原告とする損害賠償事件において,同社の元取締役・元監査役のみならず,主幹事証券会社についても,金融商品取引法違反による民事上の責任を認めて,損害賠償を命じる判決を言い渡した。

粉飾決算を理由とする損害賠償事件で,証券会社に損害賠償を命じる判決が出たのは初めてということで,大いに注目を集めた判決であるが,同時に,本判決は,社外監査役について損害賠償を命じている点についても,話題となっている。

そこで,本連載では,本件判決とニイウスコー事件,セイクレスト事件における裁判所の判断など,複数の判決を比較考量しながら,会計不正事件の主犯・実行犯ではない当事者の損害賠償責任について,検討したい。

 第1回目となる本日公開された記事は,連載を始めようとした契機になったと言ってもいい,エフオーアイ事件の第1審判決をとりあげています。

 次回以降の連載では,監査役,取締役,会計監査人,主幹事証券会社などが損害賠償責任を負うとされた事件の判決を検討しながら,それぞれの者が,会計不正を防止し,あるいは早期に発見するために,どのように職務を果たしていくべきかを考えていきたいと思います。