「会計不正事件における当事者の損害賠償責任」【連載第2回】をProfession Journal誌に寄稿しました。

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 今月から連載を開始した「(判決から見た)会計不正事件における当事者の損害賠償責任」第2回を寄稿しました。今回は,監査役,とくに社外の非常勤監査役が,会計不正事件に対して,どのような責任を負うのかを,先行するニイウスコー事件,セイクレスト事件における裁判所の判断を中心に,連載第1回でとりあげたエフオーアイ事件との相違点を検証しています。

 会計や法律の専門職を,社外監査役として迎える企業が増えていると言われはじめて久しいですが,専門的な知見や経験を有しているからこそ,取締役の職務執行に法律や定款に違反する行為がないかどうかを的確に判断し,ときには,注意喚起を行い,あるいはそうした違反行為を止めさせることが期待されているわけです。

 では,そうした専門職としての資格を有し,知見や経験を有していることが期待されている存在であるがゆえに,その責任について,裁判所は厳しくとらえるのか。そうした観点からも,本稿でとりあげた二つの判決は,考えさせらられる点がありました。

 次回の連載記事では,不正に加担していなかった,または不正が行われていることを知らなかった「取締役」の責任について,いくつかの判決を比較して検証する予定です。