書籍:酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明』

 酒見賢一さんの『泣き虫弱虫諸葛孔明』を第一部から第伍部まで,一気に読みました。続編を待っている間の期待感もいいものですが,最後まで続けて読めるのも,また格別です。第一部が刊行されたのが2004年だそうですから,完結までに13年を要したことになります。

泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部

泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部

 

  三国志は,本当に面白くて,これまでも,羅貫中の『三国志演義』はいくつかの翻訳本で読み,吉川英治の『三国志』も楽しく読みました。本作がとても面白いのは,正史『三國志』や『三国志演義』,後世の注などを網羅して,比較しながら論じているところでしょうか。呉の孫権以下の登場人物が,広島弁を思わせる言葉づかいで統一されていたり,孔明の南征の相手となった南方の豪族たちの不思議な風俗が面白おかしく描かれていたり,酒見賢一さんの工夫が随所にちりばめられていて,各巻600ページで5巻という大部の物語を飽きさせません。

 今回,全5巻を読み終えるために約1か月,本を持ち歩いていたわけですが,やはり,重いのはいかんともしがたく,やっぱり電子書籍かなと感じました。とはいえ,ページを繰る感触も捨てがたく,悩ましいところです。