「租税争訟レポート」Profession Journal誌に寄稿しました。

 web情報誌Profession Jounalに寄稿させていただいている「租税争訟レポート」が公開されました。今回とりあげた事案は,九州地区有数の養鶏業者である原告が,「感謝の集い」と称する従業員向けのコンサート付き昼食会を福利厚生費として損金の額に算入していたところ,熊本国税局による調査の結果,この費用が「交際費等」として課税処分を受けたため,訴訟を提起したものです。

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 福岡地方裁判所は,原告の主張の根幹部分をほぼ認め,課税処分の一部取り消しを命じました。原告の事業活動,参加者の多さや女性社員が多数いることなどから,宿泊を伴う慰安旅行ができないため,豪華な昼食と有名な歌手のコンサートにより従業員に対する「感謝の集い」を催しすための費用について,社会通念上福利厚生費の範囲を超えるものとは認めがたい,と判断しました。被告・国側は,慰安旅行と酒食を伴う宴席とでは,「通常要する費用」が異なるというようにも捉えられる主張をしていたようですが,これはあっさり,裁判所によって退けられました。