「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 先週に引き続き,ATT事件の被害者であると思われるKISCO株式会社が設置した特別調査委員会報告書をとりあげた記事を寄稿しました。先週の藤光樹脂株式会社の損害は約4億円とのことでしたが,こちらは,未回収の売掛金残高が約70億円と,桁が違います。

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 冒頭「思われる」と表記したのは,本調査報告書では,ATT株式会社と推測できる会社は「A社」となっており,他のリリースにおいても,ATT株式会社の名称は出てこないことによります。ただ,東京商工リサーチが配信した記事などを合わせて読むと,KISCO株式会社においても,ATTによる架空循環取引に巻き込まれたことが強く推測できます。なお,架空循環取引が発覚した経緯は,藤光樹脂株式会社と同じく,ATT代表取締役からの電子メールでした。KISCO株式会社は,すぐに,ATTに乗り込み,社長以下複数の役員・従業員のノートPCから電子メールデータを抽出することに成功します。これはなかなかすごいと思います。

 その結果,KISCOは,長期にわたって架空循環取引の輪の中に入っていたことが判明,過年度決算の修正を余儀なくだれることとなりました。

 なお,東京商工リサーチは,KISCOが特別調査委員会の設置を公表した4日後には,以下の記事を配信しています。

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