「速報解説・公表裁決事例」Profession Journal誌に寄稿しました。

 国税不服審判所が四半期ごとに公表している「公表裁決事例」ですが,平成29年4月~6月分が,先週12月18日に公表されました。今回の公表裁決事例は10件,課税処分の一部が取り消された裁決はそのうち4件でした。

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 いつものように3件の裁決について短くまとめておりますが,一番興味深く読んだのは,無申告加算税ではなく重加算税の賦課決定処分をした原処分庁に対して,「隠ぺい,仮装の意図はなかった」として,重加算税を取消した裁決でした。「疑わしきは罰せず」に近い判断を国税不服審判所が行うのは,あまり記憶にありません。詳細は,寄稿した記事と公表された裁決をお読みいただければと思います。

 公表裁決についての紹介記事を書くたびに思うのは,いつになったら,裁決のすべてが公表されるのだろうかということです。このところ3か月間で10件程度の公表が常態化しており,「この程度公表しておければいいかな」という思惑でもあるのかと勘繰りたくなります。少なくとも,国税不服審判所が原処分庁による課税処分の全部又は一部を取消した裁決については,全件公表することが,納税者の予測可能性を担保し,権利を守ると同時に,課税庁による無理な処分に対する抑止にもつながると思うのですが,いかがなものでしょうか。