書籍『パワハラ・セクハラ・マタハラの相談はこうして話を聴く』

 内部通報窓口を専門にしているわけではないのですが,年に数回は,関係者へのインタビューをする機会があります。とくに初めて会う人に対するときは,たいへん気を遣いますし,終わった後も「あれでよかったのかな」と反省することが少なくないのですが,ハラスメントの相談窓口担当者向けのわかりやすい解説書を見つけました。

 執筆者は,日本産業カウンセリングセンター代表者の野原蓉子さん。140ページの薄い書籍ですが,中身は充実しています。

  ポイントの一つは,タイトルにある「聴く」という姿勢のようです。また,ハラスメント対応は「初動」が肝心であると繰り返し説明されています。本書のなかでも,実務上とても参考になったのは,「信頼が得られる面談の進め方」としてまとめられた20の面談テクニックでした。「こうしたほうがいいだろうな」となんとなく理解している項目ではあるのですが,こうして明示され,その効果を教えられると,これまでに行ってきた面談における反省点や改善点がよくわかります。相談事例が,失敗した場合と成功した場合に分けてその原因がわかりやすく解説されているのも,「なるほど」という感じで,失敗例に学ぶということの大切さを気づきました。