速報解説「公表裁決事例平成29年7月~9月」をProfession Journal誌に寄稿しました。

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 国税不服審判所が3か月に1度公開している「公表裁決事例」。平成27年7月~9月分が3月19日に公開されましたので,例によってその中のいくつかを解説する記事を,Profession Journal誌に寄稿しました。

 これまで,「請求内容については全面的に棄却しているが,課税庁の処分の一部に誤りがある場合」については,公表裁決事例の要旨の表記は「棄却・一部取消し」又は単に「一部取消し」となっていて,用紙を読むだけでは「なぜ一部取消しなのか」が不明なものが多かったのですが(もちろん,「裁決(抄)」まで読めば,国税不服審判所の判断内容はわかります),前回あたりから,裁決要旨の最後に「なお」「ただし」という接続詞の後,「請求内容については棄却だが,裁決としては一部取消し」となった理由が明示される裁決要旨が目につくようになりました。

 今回の裁決事例では,こんな感じです。

 なお、矯正診療費に係る収入すべき時期の認定に一部誤りがあったことから一部取消しとなった。

 ただし、請求人の課税売上割合及び控除対象仕入税額を再計算すると、原処分の一部を取り消すべきである。

 裁決要旨を読む側としては,こうした記述があることは,「なぜ一部取消しなのか」を理解するうえで有用であろうかと思います(いちいち「裁決(抄)」の全文を読むのもたいへんですし)。