「AIで士業は変わるか?」Profession Journal誌に寄稿しました。

 Profession Journal誌では,連載企画として,「AIで士業は変わるか?」シリーズを不定期後悔しており,この度,その第16回に,「AIで不正会計はなくなるか?」をテーマに寄稿させていただきました。

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 執筆の依頼をいただいたときに,結論は,「AIで不正会計をなくすことはできないかもしれないが,より早期に発見することはできる」ということになろうと考え,その方向で書き進めていたところ,公認会計士・公認不正検査士の宇澤亜弓先生のご著書「不正会計リスクにどう立ち向かうか!」の一節を思い出し,引用させてもらうことにしました。引用した部分は,次のとおりです(同書77ページ)。

ある情報・状況・事実等に接した「人」が,当該情報・状況・事実等に対して違和感を覚えることにより,不正会計の端緒の把握となる。「何かおかしい」「何か変だ」「なんでだろう」「どうしてだろう」という違和感である。この違和感をきっかけに,そこからさらに事実を掘り下げ,端緒と企業活動の実態との乖離が明らかにされ,不正会計が発覚することにより,この発覚のきっかけとなった情報・状況。事実等が不正家計の端緒となるのである。ゆえに,不正会計の端緒とは,客観的な存在として不正会計の端緒が存在するのではなく,当該端緒情報に接した「人」が違和感を覚えることにより端緒となり得るのであって,極めて主観的な存在となる。

 この「人」が覚える「違和感」を,たとえば,会社の基幹システムが認識できるようになれば,リアルタイムでアラート情報を生成させて,不正の端緒について調査ができるのではないか,そして,不正の早期発見が可能になるのではないかというのが,結論となりました。

  ご興味がございましたら,ご一読いただければと思います。

不正会計リスクにどう立ち向かうか! (内部統制の視点と実務対応)

不正会計リスクにどう立ち向かうか! (内部統制の視点と実務対応)