「速報解説 公表裁決事例平成29年10月~12月分」をProfession Journal誌に寄稿しました。

 国税不服審判所が四半期単位で公表している裁決事例ですが,平成29年10月分から12月分が,去る6月18日に公表されました。今回公表された裁決事例は9件,うち5件が国税徴収法関連のもので,第二次納税義務や告知処分,滞納処分など,徴収をめぐる裁決事例の公表が,このところ増えている印象です。

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 注目裁決事例としてとりあげた裁決も,3件のうち2件を国税徴収法関連のものから選びました。うち1件は,滞納者が株式を有している同族会社(審査請求人)に対する納税義務の告知処分にかかる限度額の算定が争点であり,,もう1件は,滞納者から承継した動産に対する差押について,所有権がすでに審査請求人に移転しているかどうかを国税不服審判所が判断したものです。どちらも,納税者である審査請求人の主張が認められ,原処分庁による処分は全部取消しの判断が出ています。

 公表された事例は,いずれも,徴収の現場における原処分庁の行き過ぎた処分に歯止めをかけるものでしたが,実際にどの程度,こうした「無理筋の徴収」が行われているのかはあまり表に出ることはなく,かなりの納税者が納得できないままに差押えの通知を受けているのではないかと懸念されるところです。

 なお,国税不服審判所のサイトはこちらです。

平成29年10月〜12月分 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所