書籍『十人十色の「ひとり税理士」という生き方』

 『ひとり税理士の仕事術』の著者である井ノ上陽一氏の編集による,「ひとり税理士」として生きる選択をした(せざるを得なかった)10人の税理士の「生き方」を紹介する本です。

 内容的には,以下のような項目について,10人のひとり税理士が,自分の体験や考えを語るというものでした。

・なぜひとりを選んだか

・ひとり税理士の苦悩や不安

・ひとり税理士としての失敗事例

・ひとり税理士としての成功事例

・ひとり税理士のメリット

・どういう生き方をしているか

 ・独立を考えている方へのメッセージ

十人十色の「ひとり税理士」という生き方

十人十色の「ひとり税理士」という生き方

 

  2人目の方の各項目を読みながら,すでに,これは「ひとり税理士教」信者による教祖様(井ノ上陽一氏)礼賛文だなと感じていました。その感覚は,最後まで続きます。

 その理由は,ひとり税理士として独立を決意し,または独立をお通ししてくれたのは井ノ上陽一氏のブログであり,著作であったことや,税理士としての仕事の仕方が,以下のような点で酷似していることにありました。

 自分の「軸」を作り,自分の「軸」を磨く

 ブログは毎日更新する

 ホームページやブログで集客し,同時に,顧客を選別する

 これでは,十人一色ではないかと。

 確かに,「生き方」の部分は十人十色と言えなくもないのですが,それでも,家族との時間を大事にする,夜や土日に仕事をしないなど,共通点も目につきます。みなさん,楽しそうに生きているので文句をつける筋合いのものではありませんが。

 私はひとり税理士になっってから,井ノ上陽一氏の著作を読み,ブログに目を通すようになって,よく似た考えの税理士もいるものだと思ったくらいですから,私自身も,「ひとり税理士教」の信者を自認しています(教祖様には破門されるかもしれませんが)。ただ,税理士として糊口をしのぐ方法が,毎日更新するブログで自分を発信して,自分の「軸」を持つことしかないのかな,という違和感です。

 とはいえ,税理士試験受験者数が減少している時代,会社組織の中でなんとなく一生を終えたくないと考えている人たちにとって,税理士という職業を選択することは,楽しい人生を送るために有効な手段であることを示すためのガイドブックとして,井ノ上陽一氏の他の著作ととともに,広く読まれればいいと思います。

 

ひとり税理士の仕事術―雇われない・雇わない働き方 仕事も人生も楽しむ税理士

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ひとり税理士のIT仕事術―ITに強くなれば、ひとり税理士の真価を発揮できる!!

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