日本公認会計士協会が,6月26日付で公表した経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」についての解説記事を,Profession Journal誌に寄稿しました。
編集部からオファーがあったとき,公認会計士協会の研究資料を会員でもない筆者が解説するのもどうかなという懸念はありますが,テーマが会計不正ということですので,これはお引き受けしてもいいかなと思った次第です。
研究資料自体は15ページほどの分量ですので,目を通すのにそんなに時間はかからないと思いますが,いくつか,面白い分析があり,また,「会計不正事例の紹介」という記事が10本あって,「これはどこの会社のもだろうか」などと,推測する楽しみ(?)もありました。
たとえば,会計不正の発覚経路について,未公表としている会社が29社もあり,この点について,研究資料は,「発覚経路を明らかにすることは,適切な発生原因の分析,有効な再発防止策の構築につながるものであり,積極的に公表することが望まれる」と批判的に評しています。
また,会計不正の共謀についての集計結果からは,役員と管理職については,共謀して会計不正を行うことが多く,非管理職については,単独での会計不正行為が共謀を上回っていることが明らかになっています。部下がいる人間は自分自身で不正を行うよりも,部下の指示をして,会計不正をさせているということかもしれません。