「会計不正調査布告所を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 ほぼ月に一度連載をしている「会計不正調査報告書」の第75回記事が掲載された,Profession Journal誌が公開されました。

profession-net.com

 今回とりあげた会計不正は,釣り専門チャンネルとして根強い人気を誇る「釣りビジョン」が巻き込まれた架空取引です。10年以上にわたって繰り返された,総額120億円もの架空取引に気づかないまま,書類だけの操作で売上計上を行っていたというのはいささか驚きですが,第三者委員会による調査結果でも,代表取締役社長以下の経営陣は,取引に不審な点があるという疑念こそ持っていたものの,架空取引を行っていた社の代理人弁護士から書状が届くまでは,知らなかったということで結着したようです。

 本件の手口は極めて単純なものでしたが,背後に大手企業が控えていること,債権の回収に遅滞がなかったことなどから,なるべく疑問を持たないように心がけて,売上高の40%を超える取引を継続したというあたり真相でしょうか。

 2018年も,調査委員会の設置件数は高い水準で推移しており,第三者委員会ドットコムのサイトで数えてみたところ,8月10日までで,すでに40社が社内または社外の調査委員会を設置しているようです。興味深い事案も散見されますので,次月以降,寄稿させていただければと思っております。