馬券払戻金に対する課税の現状(会計検査院)。

 けさの読売新聞朝刊社会面で大きく扱われていましたが,高額の的中馬券の払い戻しを受けた者の大部分が,申告納税を怠っているという推計を,会計検査院が行っているそうです。

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 記事では,会計検査院が,2015年の1口1050万円以上の払戻金531件を抽出し,同年分の確定申告書のうち,1000万円以上の一時所得又は雑所得の記載がある申告書と照合した結果,払戻金として確認できたのは27件しかなかったと言ことです。

 会計検査院の地道な調査には頭が下がります。

 勝ち馬投票券に対する課税については,インターネットで馬券を購入している場合には,銀行口座の調査を行えば,高額の払戻金が把握できるものの,窓口での払い戻しについては本人確認もなく,ほとんどの場合が申告納税がされていないが現状でしょう。

 読売新聞の取材に対して,国税庁は,「払戻金は申告が必要だということの周知広報に努め,適切な自主申告を促したい」とコメントしています。

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 ところが,日本経済新聞電子版の記事では,国税庁は「検査結果が正式に公表されておらず,コメントできない」と,じゃっかんニュアンスが違うコメントが出ています。

 本調査の結果を,会計検査院がどのように公表して,国税庁に是正を求めるのか,国税庁はどう対応するのか,たいへん興味を持っているところです。

 なお,近い将来,日本にもできるはずのカジノで稼いだ金銭に対する課税もどうするのか,公営ギャンブルですら,適正な課税が実現できないまま放置されている状況下で,悩ましいところです。そういえば,パチンコで買ったお金も野放しでしたか。

 国税庁は,マイナンバーカードがなければ払い戻しを受けられない(チップを換金できない)ようにしたいところでしょうが,そうすると,税金を払いたくない顧客は,公営ギャンブルやパチンコから離れてしまい,ヤミの賭け屋(ノミ屋)やヤミ賭博が横行することになって,かえって反社会的勢力が資金を得てしまうことになる恐れがありますね。警察庁は反対するでしょう。

 ギャンブル依存症の問題もあり,公営ギャンブルやパチンコは法規制の強化⇒廃止へ向かうべきだと考える人も多い中,的中馬券の払戻金に適正な課税がされていないことを立証した(と思えます)会計検査院の調査結果が公表されれば,波紋は大きいのではないでしょうか。