消費税免税事業制度(読売新聞10月28日朝刊記事より)

 昨日の読売新聞朝刊社会面に,「個人事業主 消費税高収入でも免除」と題された記事が掲載されました。

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 記事によれば,会計検査院の調べで,2016年までの3年間で,事業を承継した個人事業主が免税事業者となっているケースが,約210人,徴収されなかった消費税額が約2億2千万円に上ると推計したということです。ニュースソースが知りたくて会計検査院のサイトを検索しましたが,見つかりませんでした。

 そもそも,新規に事業を開始した者が,消費税の申告納付を免除される(=免税事業者)のは,「小規模零細事業者の事務負担を軽減する」ため,基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者について,消費税の免税事業者として扱っているのと同様,基準期間が存在しない新規に事業を開始した者についても,納税事務が整備されていないという事情に配慮したものと考えられています。

 ところが,親族などから事業を承継した個人事業主にも,同様の免税制度が適用され続けてきたおり,記事によれば,「検査院は,事業は継続しており,本来の新規参入とは異なり納税事務を円滑に処理できるにもかかわらず,納税義務を免除することは制度の趣旨に沿わないと判断」したということです。

 この制度が不合理なことは,法人と個人を比較すれば,すぐに理解できると思います。つまり,法人であれば,社長が変わったところで,それまでの売上高をご破算にして免税事業者とならないという当然の取扱いが,先代の事業を引き継いだ場合には,先代の築いてきた経営基盤は一切無視して,まったく新規に事業を開始した者と同じ税務上の取扱いをするというのは,明らかに不合理でしょう。

 消費税の益税問題については,当ブログでも取り上げさせていただきましたが,消費税率が2019年10月から10%に引き上げられることが確定的と伝えられる中,さらに問題は大きくなってくるのではないでしょうか。

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