「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 Profession Journal No.294が公開され,小職の寄稿した「会計不正調査報告書を読む」連載第79回,スルガ銀行三者委員会調査報告書の【後編】もお読みいただけるようになりました。【体裁上,どうしても前編】は報告書の引用中心となってしまったため,原稿をまとめている時点から,分析や周辺の情報をまとめた【後編】の方に力が入っていました。

 あた,公開日の少し前である12日の段階で,旧経営陣9人に対する損害賠償請求訴訟を提起したことが公表されたため,慌てて,最後に,当該リリースに関する記述を追記しています。

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「自己責任」と言われることが多い不動産投資ですが,【前編】公開時のブログにも書いてように,本来は被害に遭わなかったはずの投資家が,不動産業者の書類改竄や銀行員による黙認,銀行による融資審査の形骸化など,複数の不正が行われた結果,多額の負債と収益の上がらないシェアハウスを抱えてしまったわけですから,やはり,シェアハウスオーナーをどのように救済するかということを,スルガ銀行側は,もっと考えるべきではないのか(考えているのかもしれませんが,被害弁護団との協議を打ち切ってしまっているようでは,考えていないと言われても仕方ないでしょう)。

 12日のリリースに続いて,スルガ銀行は,取締役等責任調査委員会報告書と監査役責任調査報告書の全文を,昨日(11月14日)に公表しました。こちらの調査報告書についても,分析記事をProfession Journal誌に寄稿させていただく予定です。第三者委員会が,善管注意義務違反を認めた常勤監査役については,スルガ銀行は,損害賠償請求を行っていないようです。そのあたりの判断は,いかにして行われたのか。調査報告書の内容を検討して,明らかにできればと考えております。