「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 明日が「春分の日」で祝日のため,Profession Journalは,いつもより一日早く,今日,公開されました。連載第84回のテーマは,株式会社日住サービス三者委員会報告書です。

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 暮れも押し迫った昨年12月28日に,株式会社日住サービスは「第三者委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。リリースを読んだところ,委員長には「ビジネス法務の部屋」でお馴染みの山口利昭弁護士が就任され,公認会計士の立川さんも委員として名を連ねており,面識のあるお二人がどのような報告書をまとめるのか,楽しみにしていたところでした。

 報告書の公表が1月31日,第三者委員会の提言を受けた会社が,再発防止策を公表したのが2月22日ということで,今月の連載として取り上げさせていただいた次第です。

 報告書の中でとりわけ注目したのは,常勤監査役が自ら不正調査を行い,証拠に基づいて経営陣を説得し,現職の取締役経理部長の犯罪を告発するプロセスでした。詳しくは報告書をお読みいただきたいのですが,会計監査人による「不正リスク」の指摘を受けて,調査を行った監査役が,社長以下役付きの取締役に対して,次のように説得する場面は,「監査役の覚悟」を感じさせるものでした。

 

取締役の不正を知った以上、私は取締役会に報告しなければならない。取締役会が機能しない場合には、監査役として会社法上の権限を行使してでも、違法行為を阻止しなければならない。そのような事態となった場合、違法行為を看過した責任は取締役会が負うことになるだろうし、内部統制に重大な不備があると監査役も指摘しなければならない。よってここで取締役会としての監督機能を発揮してください。

 

 また,第三者委員会による再発防止策の提言の一つ「役職員を不幸にしない内部統制の整備』という項目についても,興味深く拝読しました。

 企業不正に関わる方には,必読の報告書になっていると思います。