「公表裁決事例(平成30年7月~9月分)」をProfession Journal誌に寄稿しました。

 国税不服審判所が3か月に一度公開している「公表裁決事例」の平成30年7月~9月分が,3月26日に,公開されました。恒例となっている,Profession Journal誌の「速報解説」において,注目事例を紹介する記事を寄稿,先ほど,公開されました。

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 今回公表された裁決事例奈9件と,最近の中では少なめです。注目されるのは,9件のうち棄却は2件のみで,全部取消し2件,一部取消し5件と,原処分庁の賦課決定処分を否定する裁決が多かったことでしょうか。詳細は,Profession Journal誌をお読みいただければと思いますが,注目事例として紹介した裁決の一つ(法人税法)では,国税不服審判所は,審査請求人の主張,原処分庁の主張をともに斥けたうえで,審査請求人の申告を是認するに等しい裁決(全部取消し)を出しています。

 気になったのは,不動産仲介を業とする法人の従業員が,不動産売買の日を偽って(平成28年分ではなく,平成27年分として)還付が可能な確定申告書を作成し,これを審査請求人が提出したことが,重加算税の賦課要件に該当するかどうかが争われたた事案です。国税不服審判所は,重加算税部分を取り消す,一部取消しの裁決を出しましたが,それ以前に,この不動産仲介業者の従業員が行った行為は,税理士法違反の疑いがあるのではないかと考えた次第です。

 当然,争点にはなっていないので,国税不服審判所の判断は示されないわけですが,この裁決を受けた原処分庁は,当該法人及び従業員を税理士法違反の容疑で告発したのかどうか,気になっています。