Profession Journal誌「最近の子会社不正をめぐる傾向と防止策」連載第3回が公開されました。

 月5日号から連載を続けさせていただいている「最近の子会社不正をめぐる傾向と防止策」の最終回に当たる第3回が,昨日,公開されました。

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 今回のテーマは,「子会社役員・従業員による不正」です。とりあげた調査報告書は,スバル興業株式会社と九州旅客鉄道(JR九州)株式会社の2社。

 スバル興業連結子会社における元代表取締役の横領事案では,連結子会社のうち唯一,スバル興業の取締役が派遣されていないことや,地理的な関係から子会社管理が関西にある支社任せになっていたこと,元代表取締役が20年近くその地位にあり,いわば聖域化していたことから,不正が発生する潜在的リスクが高かったにもかかわらず,必要な統制ができていなかった事案でした。

 JR九州の子会社不正では,本業との関連性が薄い子会社において,業務に関する知識や経験の乏しい親会社からの出向者とプロパー社員との間の断絶があったことが原因の一つに挙げられています。子会社が販売した住宅について,顧客が住宅ローンの融資申し込みを行う際に,工事請負金額を水増しするという手法は,スルガ銀行不正融資事件を想起させますが,こちらの事案は,顧客も納得の上で行われていたようでした。

 連載記事では,ベネッセの顧客情報流出事件の東京高裁判決で,子会社の業務委託先従業員の犯罪について,親会社の責任を認め,損害賠償を命じる判決(令和元年6月27日)が出たことにも触れています。

 ぜひ,ご一読ください。

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