「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月寄稿させていただいているweb情報誌Profession Journal最新号が公開されました。連載記事「会計不正調査報告書を読む」でとりあげた事案は,大阪の学校法人明浄学院元理事長らによる横領事件です。

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 毎日新聞社のスクープにより発覚した元理事長による1億円の使途不明を端緒として,明浄学院高等学校の敷地の一部について締結された売買契約に伴う手付金21億円も,不正に支出されていることが明らかになります。大阪地検特捜部は,横領の容疑で元理事長を逮捕しますが,その後,手付金21億円が渡っていたとされる,東証1部上場の不動産会社プレサンスコーポレーションの山岸忍社長も逮捕されます。

 こうした経緯を調べていた明浄学院三者委員会による調査報告書と,プレサンスコーポレーションの外部経営改革委員会による調査報告書について,その内容を検討しました。

 明浄学院の第三者委員会が明らかにしたのは,元理事長の専横を止められない理事会の姿であり,二人の監事による監視監督が機能しなかった実態です。一方のプレサンスコーポレーションもまた,創業社長で大株主でもある山岸前社長による「個人商店」であったことが,外部経営改革員会によって指摘されています。

 民事再生手続き中だった明浄学院は支援先も決まり,高校敷地の一部売却問題にも方がつきましたが,少子化が止まらない中,学校経営の難しさは変わらないと思います。傘下の大阪観光大学にとっても,新型コロナウイルス感染症の影響は痛手になりそうです。

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