「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月連載中の「会計不正調査報告書を読む」連載第127回が,Profession Journal誌上で公開されました。今月,選定した調査報告書はオウケイウェイヴが,6月10日に公表したものです。オウケイウェイヴが投資を委託していた合同会社が,弁護士のもとで債務整理を行うことが判明し,投資資金の回収が難しくなったことに端を発して,調査委員会が設けられていたものです。

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 オウケイウェイヴの消失した50億円をめぐっては,FACTAやDIAMONDがウェブ上で詳細な経緯を報じていて,そこで語られている「疑惑」が,調査委員会によってどこまで明らかになるのか,期待をしていたのですが,残念ながら,調査報告書が疑惑解明につながっているとは言えません。報じられている疑惑は,

社外取締役が,投資委託先の会社と業務委託契約を結び,報酬を得ていた

・元会長に投資資金の一部が還流(利益供与)していた

など,投資会社の手口が「ポンジ・スキーム」であることが認定されれば,こうした疑惑が「詐欺」に直結する可能性もあるだけに,調査委員会としても事実関係の解明が十分にできない以上,断定的な報告はできなかったということだと思われます。

 オウケイウエイヴは,一部の株主から臨時株主総会の招集を求められ,8月25日に開催することを決めました。議題としては,代表取締役及び投資を推進した取締役の解任,新たな5名の取締役の選任が挙げられています。総会に向けてどのような動きがあるのか予断を許しませんが,注目したいと思います。