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書籍『転換期を生きるきみたちへ――中高生に伝えておきたいたいせつなこと』

  内田樹先生の呼びかけに賛同した10人の識者が,「中高生を読者に想定して」書いた文章をまとめたアンソロジー。私は当然読者の対象ではありませんが,中学生の息子を持つ親としては,非常に興味にあるタイトルでしたので,読むことにしました。

 内田先生が執筆を依頼したみなさんに送られた手紙には,このような言葉があります。

私たちの知っている日本という国が「何か別のもの」になるリスクが指呼の間に迫っている。今はそういう危機的局面だと私は理解しています。だからこそ,少年少女たちが見晴らしのよい視座から,ひろびろとものを見ることができるように一臂の支援をしたいと願うのです。

 執筆者のみなさんも基本的には内田先生と同じ危機感を共有されている方たちですから,こうした依頼に真摯に応えています。正直,中高生だけに読ませるのはもったいないと思うほどです。

 いろんな意見がある中で,私は,想田和弘さんの「日本は中年の危機にあるにもかかわらず,それを認めたくない」という説明が気に入りました。たぶん,中高生にもわかりやすいだろうと思います(身近にいる中年である親のことをイメージすればいいわけですから)。

 アベノミクスを筋肉増強剤や過度の筋トレにたとえた後,想田さんはこのように話を締め括ります。

経済成長しないということは,全体のパイが大きくならないということです。であるならば,そのパイをみんなでうまく分け合うことを考える必要があるのです。

 白井聡さんは,その文末で,中年以上の日本人について,「何の期待もしていません」としたうえで,「消費社会の不幸な家畜として生き,死んでいくでしょう」と評しています。たいへん手厳しいお言葉ですが,中年の一人として,そうはならないよう,目を見開いて生きていきたいと強く感じた次第です。

 やはり,この本は中高生だけに読ませておくのはもったいないですね。