「租税争訟レポート」をProfession Journal誌に寄稿しました。

 隔月で連載しているweb情報誌Profession Journal最新号で,「租税争訟レポート」連載第71回が公開されました。今回は,脱税相談を理由に税理士業務の禁止という重い懲戒処分を受けた税理士が,その処分の取消しを求めた裁判の第1審と控訴審判決をまとめました。

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 関与した税理士は2人です。相続税の相談を受けていた税理士(原告・控訴人)は,税負担の軽減を図るため,Cさんが経営している会社(A社)に対する貸付金債権の放棄を提案して,債権放棄通知書を作成します。ところが,債務の免除を受けた会社の決算を担当しているB税理士から,債務免除益が大き過ぎて納付税額が発生するので,債務免除益の圧縮を求められます。原告税理士は,この依頼を受けて,債権放棄額を1億円以上も少なくした債権放棄通知書を再作成しますが,その時には,Cさんは既に死亡しておりました。税務調査の結果,A社は追徴課税処分を受け,担当している税理士は両名ともに,税理士業務禁止の懲戒処分を受けました。

 原告税理士は,A社の法人税の申告は,同社の税務代理を受任していたB税理士が自己の判断と責任において行ったことであるから,原告が責任を問われ得る不正所得金額等はないなどと主張しましたが,第1審,控訴審ともに,原告の主張は斥けられて,棄却判決が言い渡されました。

 ぜひ,ご一読ください。