「租税争訟レポート」Profession Journal誌に寄稿しました。

 前回の寄稿から少し間が開いてしまいましたが,Profession Journal誌に連載中の「租税争訟レポート」第46回が,12日(木)に公開されました。

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 今回とりあげたのはユニバーサル・ミュージック事件として著名な,法人税法132条「同族会社等の行為又は計算の否認」規定をめぐる法人税更正処分等取消し訴訟の第一審判決です。東京地方裁判所は,ユニバーサル・ミュージックとその同じグループ会社が行った一連の事業再編に伴う取引は,経済的利益があり,「その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には該当しないという判断を示して,処分行政庁の賦課決定処分をすべて取り消して,納税者である原告を勝訴させました。所得金額の増加額が約93億円,法人税の増差額と過少申告加算税の合計額(いわゆる追徴税額)が30億円を超える,巨額の租税訴訟の第1ラウンドは,厳密にデザインした組織再編成を行った納税者の勝利に帰したわけですが,この判決を評している弁護士さんなどの多くが指摘しているように,「この判断が控訴審でも維持されるかどうか」が次の焦点となりそうです。