「租税争訟レポート」Profession Journal誌に寄稿しました。

 先週のことで申し訳ないですが,web情報誌Profession Journalで,「租税争訟レポート」連載第55回の記事が公開されました。今回は,税務調査で重加算税の賦課決定処分を受けた弁護士法人が提起した租税訴訟の第1審判決について,解説しています。

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 争点は多岐にわたっているのですが,(1)処分行政庁が,債権回収を業務委託していた者に対する報酬が,原告の主張するように,業務を受託していた者が横領したものであるか否か,(2)弁護士会紛議調停委員会において弁護士報酬が確定した場合における,収益計上時期はいつか,(3)原告による事実の隠蔽又は仮装に該当する行為があったか否か,といったあたりが,争点らしい争点だと言えるでしょうか。

 結論から申し上げますと,裁判所は原告の主張をことごとく退け,棄却の判断を示します。

 記事でも書きましたが,弁護士法人が、東京国税局の税務調査により重加算税の賦課決定処分を受け、国税不服審判所での裁決を経て、更正処分取消請求事件の提訴に踏み切った事案であることから、高度な租税法解釈が展開されることを期待していたのですが,原告の主張は少し期待外れでした。ただ、争点には、「総額主義と争点主義」「損害賠償請求権の益金計上時期」という、お馴染みの論点であるものの,なんとなく裁判所にはぐらかされているような気がする論点が含まれておりましたので、記事の後半では,こうした論点を確認しております。

 ぜひ,ご一読ください。