「会計不正調査報告書を読む」連載第152回の記事が公開されました。

 毎月連載をさせてもらっているProfession Journal誌の「会計不正調査報告書を読む」第152回の記事が,昨日,公開されました。今回は,インターネット上で様々なサービスを展開してきた株式会社ベクターが昨年5月に公表した特別調査委員会調査報告書をとりあげました。ベクター者が無料でダウンロード可能としているエクセルのシートは,当職も何回か利用したことがあって,社名は記憶にあったのですが,創業者の代表取締役社長が辞任して,後任に,大株主であるファンドを支配する税理士法人の代表税理士が就いていたのは,この報告書を読んで初めて知りました。

 大手監査法人が,金融商品取引法第193条の3第1項に規定する,財務計算に関する書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれのある法令違反等事実の通知を行ったうえで,会計監査人を辞した後を受けて設置された特別調査委員会の判断は,「経済合理性がある」というものでした。

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 昨年5月に本報告書が公表され,読んだたときからずっと,当職は違和感を持っておりました。ベクターが株式会社常(報告書上の表記は「甲社」)に支払った預け金や保証金名目の金員が,ベクター代表取締役が経営し,ベクターの実質的大株主である株式会社イーグルキャピタルに還流しているように見えるのは明らかじゃないのか。この調査結果を証券取引等監視委員会は是認するのか。そうした思いで,約半年,動向を見守ってきましたが,その間,新規事業を積極的に推進しようとしていた代表取締役社長が体調不良を理由に辞任したことが公表されたくらいで,大きな動きはありませんでした。現在でも,当職は,特別調査委員会による調査結果に大きな疑問を持っておりますので,そのあたりは,この記事で強調しました。ぜひ,ご一読ください。