「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月連載させていただいている「会計不正調査報告書を読む」連載第126回が,昨日公開されたProfession Journal誌に掲載されています。

 今回は,アジャイルメディア・ネットワーク株式会社が4月11日付で公表した第三者委員会調査報告書をとりあげました。同社は,昨年6月にも,第三者委員会調査報告書を公表しており,今回が2度目の第三者委員会による調査となりました。前回の調査後に,「外部の公的機関」から指摘を受けて,架空売上の計上疑惑が発覚し,再度,調査を行ったというものです。

profession-net.com

 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社は,会計監査人を変更したことに伴い,元取締役の資金流用が発覚して,最初の第三者委員会を設置したものですが,元取締役が流用したとされていた資金の一部が,台湾にある取引先に対する架空の売上代金として,同社に還流していたことが,調査の結果,判明します。

 最初の第三者委員会による調査では,台湾の取引先に対する架空売上は,調査の対象外だったということだと思われますが,架空売上であることを知っていた前代表取締役社長や社外監査役らは,この事実を調査委員会に明らかにすることはなかったようです。その結果,2度目の調査委員会を設置することとなってしまい,債務超過に陥っていることも公表されています。

 せっかく巨額の費用をかけて調査を行うわけですから,当たり前のことですが,悪い部分はすべて白日のもとにさらして,早期に信用回復に努めるべきであったことは,いまさら言うまでもないことでしょう。