毎月連載をさせてもらっているweb情報誌Profession Journal最新号が昨日発刊されて,「会計不正調査報告書を読む」連載第175回が公開されています。
今回とりあげたのは,株式会社トーシンホールディングスが設置した第三者委員会による調査報告書です。同社は,2024年12月にも第三者委員会を設置しており,弁護士チームは前回とは異なる調査委員が就任していますが,公認会計士チームは留任している委員・調査補助者も含まれています。
調査報告書を読んでいて興味深いと感じたのは,経理課担当者b氏が積極的に調査に協力して,前回の調査後に退任した経理担当取締役が主導した会計不正の手口が,その具体的な指示とともに明らかにされ,新たな不正疑惑が次々と暴かれたことです。経理課担当者b氏は,前回調査時には,直属の上司である元取締役との人間関係を気にして,証言をためらったようです。通常,調査委員会を設置すると,「全社を挙げて調査委員会の調査に協力いたします」というコメントがリリースに附されていることが多いのですが,本事案でも明らかになったように,実際には,上司の不正を調査委員会に対して証言することは難しく,社員には,証言に対する免責のみならず,証言を促す仕組みが必要であると言えます。
2度の調査を経て,株式会社トーシンホールディングスは,創業者であり,大株主でもある代表取締役会長が辞任することとなりました。後継の社長が会長の長男であり,会長の配偶者も取締役に名を連ねたままであることから,実質的には創業家の支配が続くことになりそうですが,11月下旬に開催が予定されている臨時株主総会に向けて,新社長が会社をどのように舵とりしていくのか,引き続き注視したいと思います。