「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 Profession Journal誌で連載させていただいている「会計不正調査報告書を読む」シリーズ第82回が,昨日,公開されました。今回とりあげたのは,株式会社TATERUが設置した特別調査委員委員会による調査結果報告書です。

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 事件が発覚したのは,昨年8月31日付の日本経済新聞電子版による報道でした。TATERU社から紹介された投資用不動産を購入していた50代の会社員が,西京銀行に融資申込手続きをしてもらったところ,23万円の預金残高は623万円に改ざんされていることを知り,西京銀行は融資を取りやめ,TATERU社は手付金の2倍を返却して,契約を解除したという内容でした。

 「会計調査報告書を読む」の連載でも3回にわたってとりあげたスルガ銀行不正融資問題が長期化している中,新たな不動産融資をめぐる不正事案として大きく注目を集める中で,3か月の時間を費やしてまとめられた調査結果報告書でした。

 ところが,公開されたのは「要約版」のみであり,少し物足りない調査内容も相まって,いくつか釈然としない点が残っています。

 詳しい疑問点については,ぜひ,Profession Journal誌をお読みいただければと思います。

 

「新版 架空循環取引」Amazonで予約受付中です。

 2011年3月,筆者初めての著作として,公認会計士の霞さん,弁護士の中西さんとの共著で出版していただいた「架空循環取引」を同じメンバーで改訂して,およそ8年ぶりに「新版」として,発刊することとなり,Amazonで予約受付が始まりました。 

新版 架空循環取引 法律・会計・税務の実務対応

新版 架空循環取引 法律・会計・税務の実務対応

 

  推薦の言葉は旧版同様,弁護士の山口利招先生にお願いしました。お忙しい中,快くお引き受けいただいて,本当に感謝しております。

 380ページの旧版から30ページばかり増量となり,その分,価格も少し上がってしまいましたが,最新の事例も多く取り入れ,読み応えがあるものに仕上がったと自負しております。

 ぜひ,お読みいただければと幸いです。

 

(追記)

 Profession Journalをご購読の方は,こちらから,割引価格でご購入いただけます。

 この機会に,Profession Networkへの会員登録も,ぜひご検討ください。

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「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 ほぼ月1連載のProfession Journal「会計不正調査報告書を読む」第81回の記事が,昨日,公開されました。今回は,昨年の年明け1回目の寄稿と同じく,「第三者委員会ドットコム」のサイトから,2018年において設置が公表された調査委員会について,その特徴を分析する記事となります。

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 上記の記事のなかでも述べましたが,2018年は「品質偽装」「検査データの改ざん」といった問題がマスコミで繰り返し報道されたことからもわかるように,こうした不祥事の調査委員会を設置した会社が17社と,前年実績の4社を大きく上回ってしまいました。その結果,調査委員会を設置した会社数も68社と,前年の41社から大幅に増加しています。

 「会計不正調査報告書を読む」の連載記事でとりあげている会計不正の件数も増えており,月1連載ではとても全件をカバーできない常態となっています。会計不正の分類される不祥事の多くは,売上計上に関する疑義であり,このけいこうはかわっていないようです。

 いつもお世話になっている「第三者委員会ドットコム」のサイトはこちらになります。

www.daisanshaiinkai.com

国税庁「確定申告書作成コーナー」の変更点

 例年どおり,1月4日から,「確定申告書等作成コーナー」が使用できるようになり,さっそく使ってみました。多くの税理士さんが,blogなどで書かれていますが,私も一つだけ自慢話を。

www.keisan.nta.go.jp

 平成29年分のデータをもとに,e=-Tax画面を進んでいきますと,おっと,生命保険料控除の入力画面が変わっているではありませんか。証明書の入力画面に進むと,右側に「見本」と赤字で記された「生命保険料控除証明書」があり,それぞれ,どの部分を入力するかが番号で示されています。

 これまでは,先に「旧制度」か「新制度」を選び,保険の種類を選び,金額と保険会社を入力するという手順で「新制度」の場合には,1枚の証明書で「一般」と「介護医療」の2回,入力画面を開く必要がありましたが,それが1回で済むようになるとともに,入力箇所もわかりやすくなっています。

 実はこれ,昨年11月に刊行された『別冊税務弘報 AI・ITの進化と税務』に,小職が寄稿した「e-taxの進化と確定申告」の中で,「『確定申告書等作成コーナー』のさらなる進化への期待』と題した章で,とりあげているものでした。

 拙稿を引用させていただきます。

源泉徴収票や特定口座年間取引報告書の入力画面と同じように,控除証明書の書式と同じ入力画面を作成し,入力手続きを簡素化することで,新制度と旧制度の選択ミスを防止することは可能であろうし,何より,入力しやすくなることは間違いない。

 もちろん,国税庁e-tax開発担当者が,小職の文章を読んでから,画面の開発を行ったと考えるには,時間的に無理があり過ぎますので,担当者の問題意識と小職の意見がたまたま合致したにすぎないことはよくわかっておりますが,少し嬉しかったので,ご報告させていただきます。 

別冊税務弘報 AI・ITの進化と税務

別冊税務弘報 AI・ITの進化と税務

 

 

 

 

書籍:井ノ上陽一著『AI時代のひとり税理士』

 著者の井ノ上陽一さんにとっては3冊目の「ひとり税理士」シリーズとなる『AI時代のひとり税理士』を読みました。今回は,AIと税理士の仕事がテーマです。

 井ノ上さんは,この本やメルマガを音声認識入力で書いているそうです。いつも,短い文章がテンポよく続く文体は,音声認識入力の影響を受けているのかもしれないなと思いながら,あっという間に読み終わりました。 

AI時代のひとり税理士

AI時代のひとり税理士

 

  もっとも気になったのが,RPA Robotic Process Automationでした。どんなものかよくわからないなりに,もしかしたら便利なのでは,と思っていたこともあって,ネットで検索してみることに。

 すると,NTTデータが開発したというWINACTORというソフトウエア型ロボットがヒットして,日本語で入力できるとのこと。年末でのんびりしていることもあり,そのまま無料で公開されているネット講座を見ました。感想としては,プログラミングを覚えれば使えそうだけど,エクセルの関数の方が早いかなという程度ですが,せっかくなので,井ノ上さんが使っているというUiPathについても,年末年始の間に,調べてみようかなと思います。

winactor.com

  読者として井ノ上さんの本を読むといつも何かしらの刺激を受けています。シンギュラリティが訪れるといわれている2045年ころに,私が税理士業務をしている可能性はほぼないですが,AIと税理士業務については,少し遅れながらも,考えていきたいと思っています。

 いま一度,この本も読み直してみようか通っています(などと,寄稿者の一人である私が書いていいものやら)。 

別冊税務弘報 AI・ITの進化と税務

別冊税務弘報 AI・ITの進化と税務

 

 

「速報解説」国税不服審判所公表裁決事例(平成30年4月~6月)が公開されました。

 国税不服審判所が,3カ月ごとに公開している「公表裁決事例」について,平成30年4月~6月分が12月17日付で,公開されました。これまでも公開のたびに「速報解説」としてProfession Journal誌に寄稿しておりましたが,今回の記事が先ほど誌上で公開されました。

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 このところ,公表裁決の件数は増加傾向にあり,今回も18件の裁決が公表されています。とはいえ,国税不服審判所の裁決は,納税者の予測可能性を担保するためにも全件公表が当然であるという前提から見れば,まだまだ,公表数が少ないのは,毎回,このブログでもお伝えしているとおりです。

 今回も18件のうちから筆者が注目事案として3件,不服審判所の考え方を中心に紹介しましたが,なかでも,債権者が,詐害行為取消請求権に基づき,債務者が贈与により取得した土地について贈与契約を無効とする判決を勝ち取り,債権者代位権または取立権に基づいて,債務者に代わって贈与税の申告に係る更正の請求を行い,還付金を差し押さえようとしたところ,審判所が,更正の請求ができるのは納税者に限られていることから,債権者には更正の請求ができない旨の裁決をした事案については,たいへん興味深く読みました。

 国税不服審判所のサイトはこちらです。

平成30年4月〜6月分 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所

 

{速報解説――与党税制改正大綱:中小企業者等の範囲見直し」を寄稿しました。

 去る12月14日に公表された与党平成31年税制改正大綱の中から,プロフェッションジャーナル誌では,編集部がピックアップした改正内容について,「速報解説」を続々と公開しています。小職もリクエストに応じる形で,「中小企業向け各租税特別措置等における「みなし大企業」の範囲見直し(大綱66ページ)」を寄稿しました。

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 現行法制上,租税措置法における「中小企業者等」と法人税法における「中小法人等」の範囲については,支配会社の資本金が1億円超か5億円以上かという相違点とともに,間接所有の場合については,「中小企業者等」には該当するので措置法上の優遇措置は受けられるが,「中小法人等」からは除外されているため,法人税法上の取扱いが異なっています。

 これを是正して,間接保有であっても,支配会社の資本金が5億円超であれば,措置法上の「中小企業者等」には該当しないよう,定義を変更するというのが,この改正の趣旨です。

 与党平成31年税制改正大綱はこちら。

www.jimin.jp