2016-01-01から1年間の記事一覧

書籍『東芝 終わりなき危機――「名門」没落の代償』

毎日新聞論説委員でニュースサイト「経済プレミア」編集長の著者による「東芝事件」解説の第2弾。ニュースサイトでその都度書かれた記事が,こうして1冊にまとまると,事件の流れが大変よくわかります。 東芝 終わりなき危機 「名門」没落の代償 作者: 今沢…

「会計不正防史学」企業会計8月号――発売中です。

中央経済社「企業会計」誌上で連載中の公認不正検査士(CFE)による寄稿「会計不正防史学」8月号の担当は,帝京大学の伍井教授です。テーマは「フォルクスワーゲン・スキャンダル――専門家の倫理観の醸成」というもので,倫理に関するセミナーなどで登壇…

書籍『内部告発の時代』

オリンパス不正会計事件の第一通報者である現役社員と,同事件が世間に知られることとなった「FACTA」の記事を書いたジャーナリストによる共著です。 なんといっても興味深いのは,事件発覚後,今なお匿名性を維持しつつ,かつ,オリンパスの社員でいつ…

「公表裁決事例(平成27年10月~12月)」をProfession Journalに寄稿しました。

さる6月22日に国税不服審判所が公表した「平成27年10月から12月までの裁決事例の追加答」のうちから,注目事例をピックアップして概説するProfession Journal誌の記事「速報解説」が,本日付で公開されました。 今回公表された裁決事例は9件ですが,納税者の…

富士通株式会社第116回定時株主総会。

富士通株式会社の定時株主総会に出席するため,朝から新横浜へ。 開会まで30分で,すでに前方の席は埋まっており,毎年のことながら,参加者は多いです。年々,参加者の年齢層も上がっているようですが,これについては,私も他人のことは言えません。 冒頭…

ワタミ株式会社第30回定時株主総会。

本日午前10時から行われたワタミ株式会社の株主総会に出席しました。 議長となった代表取締役社長の清水邦晃氏は,介護事業の譲渡,労務訴訟における和解などを経て,CIを刷新することを説明します。基調カラーはグリーンで,これまでの赤から一変。ハー…

書籍『下流中年――一億総貧困化の行方』

「下流中年」とは,主に就職氷河期を経験して,その後,非正規雇用社員の身分でいる団塊ジュニア世代を指しています。本書は,冒頭の雨宮処凛さんと萱野稔人さんの対談からして,相当に暗い話になっています。 たとえば,「あらゆる対策は『手遅れ』」と題さ…

「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

profession-net.com 連載第46回は,日本ハウスホールディングス(旧社名:東日本ハウス)の連結子会社による不正事件をとりあげました。売上の過大計上などの不正があった子会社は,「銀河高原ビール」の製造元です。一時はコンビニエンスストアの店頭でも…

書籍『会計のいま,監査のいま,そして内部統制のいま』

青山学院大学の八田進二,橋本尚両教授と甲南大学の伊豫田隆俊教授による鼎談集。「初学者にも理解できるよう比較的わかりやすい論点を取り上げ,過度に専門的な用語を用いることなく,できるだけ平易な表現を用いるように努めた(はしがき)」との狙いはう…

「会計不正防史学」企業会計7月号――発売中です。

中央経済社「企業会計」7月号。「会計不正防史学」今月の執筆担当は,岡健さん(CIA,CFE)です。長年,企業の経理畑・監査畑を歩んでこられた経験を軸に,実務面から会計不正の「防止の仕組み」と「発見の仕掛け」について解説しています。 Accountin…

「租税争訟レポート」をProfession Jounal誌に寄稿しました。

profession-net.com 4月21日,東京高等裁判所で言い渡された「馬券の払戻金の所得区分と外れ馬券の必要経費該当性」をめぐる判決は,原審である東京地方裁判所の判決から一転して納税者勝訴となりました。 今日公開されたProfession Journal誌には,本件判決…

「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス(磯山友幸著)

気になっていた本を,ようやく読みました。 元日本経済新聞社記者で,経済ジャーナリストの磯山友幸さんが描いた「大塚家具騒動」。磯山氏は「はじめに」の冒頭で,この騒動で得をしたのは誰かという問いに,創業者の勝久氏が所有株式の売却で巨額の利益を得…

「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

連載第45回目となった今回は,株式会社フード・プラネットの子会社による不適切な売上計上事件をとりあげました。売上高が上場廃止基準に抵触するレベルに低迷していた同社が,それを回避するために行った不正の手口を,第三者委員会が解明しています。 prof…

税務弘報2016年6月号に寄稿しました(発売中です)。

例年,税務弘報6月号は「株主総会」に向けた特集記事が掲載されます。小職も,過去2年,「役員給与の確認ポイント」「剰余金の配当に関する留意点」を寄稿し,非上場会社の経理担当者向けに,株主総会前後における実務上の注意点をまとめてきました。 そして…

「会計不正防史学」企業会計6月号――発売中です。

中央経済社「企業会計」誌上で連載中のCFEによる「会計不正防史学」も6月号で折り返し。今月の担当は弁護士の中西和幸先生。タイトルは『不正会計は遠方で起こる――本社が「見ている」環境が大切』ということで,有名なメルシャン事件と沖電気スペイン販…

「公表裁決事例(平成27年7月~9月分)」Profession Journalに寄稿しました。

profession-net.com 国税不服審判所は,四半期に1回,約半年遅れで裁決事例を公表しています。通常は月末に公表されるのですが,3月末はなぜか遅れて4月7日になって公開されました。Professin Jounal誌で,公表裁決のうちから,注目される事例を2~3と…

「会計不正調査報告書」を寄稿しました。

今日公開されたProfession Journalに,「会計不正調査報告書第44回」として,去る3月29日に公表された月王将フードサービス第三者委員会報告書の解説記事が掲載されました。 profession-net.com ご存じのとおり,2013年暮れに狙撃された前社長の捜査過程で九…

コンプライアンス違反企業の倒産動向調査〈帝国データバンク社〉

2015年度 コンプライアンス違反企業の倒産動向調査 | 帝国データバンク[TDB] 帝国データバンク社が毎年この時期に公表している「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」が,4月8日に公開されています。2015年度〈2015年4月から2016年3月〉の特徴として…

Profession Journal誌に寄稿しました(租税争訟レポート)。

昨日公開されたProfession Journal誌に「租税争訟レポート(第27回)」を寄稿しました。役員の分掌変更における退職金の損金算入を巡って争われた裁判で,納税者が勝訴した事件です。3月決算法人の株主総会準備が本格化する季節に合わせて選んだ争訟事件で,…

「会計不正防史学」企業会計5月号――発売中です。

企業会計誌上で連載中の「会計不正防史学」。今月号の執筆者は,公認会計士でACEコンサルティング株式会社代表の小川真人さん。とりあげた事例は,メルシャン事件です。論考の中で強調されているのは『不正実行者の心の闇』をいかに照らすに注目した不正…

東浩紀『一般意志2.0ルソー,フロイト,グーグル』

ある時期,東日本大震災よりも前に書かれた思想書,哲学書などにあまり意味を見いだせないというか,「この方たちも,あの震災後は考え方を変えてしまっているのではないか」という思いから,距離を置いていた気がします。 本書は,震災前に雑誌の連載された…

Profession Journal誌に寄稿しました。

編集部からのご依頼で,東京国税局の文書回答時程につき,速報解説という格好で記事を寄稿しました。長期の工事に係る補助金について,補助金の支給される事業年度には圧縮記帳の目的物である資産の取得ができない場合の経理処理に対する照会事案です。 補助…

「会計監査の在り方に関する懇談会」提言

確定申告期もどうにか終わったので,3月8日に公表されていた「――会計監査の信頼性確保のために――」と題された提言を読もうかなと考えていたら,タイミングよく,今日の日本系坐新聞社説でもとりあげられていました。 www.nikkei.com 社説で気になったのは,…

「会計不正防史学」企業会計4月号(発売中です)

中央経済社発行の企業会計で連載中の「会計不正防史学」。今月の執筆担当は,真柳元さんです。いくつかの勉強会でご一緒させていただいておりますが,メーカーの経理・監査畑で培われた豊富な知見に触れるたび,その場でメモを取らせていただいております。 …

企業会計「会計監査クライシス」にインタビュー記事が掲載されました。

中央経済社「企業会計」誌上で,先月から始まった連載インタビュー「会計監査クライシス」の4人目のインタビュイーとして,ご指名をいただきました。インタビューを収録したのは2月8日。好き勝手なことをしゃべったせいか,編集部も記事にまとめるのに苦…

内田樹・福島みずほ『「意地悪」化する日本』

内田樹教授の書籍はいつも楽しく読ませてもらっています。とくに対談集は,内田教授が,相手によって巧みに話術を使い分け,しかも,納得させてしまう論理展開には,感服してしまいます。 「意地悪」化する日本 作者: 内田樹,福島みずほ 出版社/メーカー: 岩…

橘木俊詔『貧困大国ニッポンの課題――格差,社会保障,教育』

橘木教授の近著を読みました。2010年から2015年にかけて発表した論文をまとめて,加筆したもののようで,その時々の教授の考え方がわかりやすく語られています。 貧困大国ニッポンの課題: 格差、社会保障、教育 作者: 橘木俊詔 出版社/メーカー: 人文書院 発…

「税理」2016年3月号に寄稿しました(発売中です)。

「税理」編集部からいただいたお題は,「対価性の有無が問われがちな委託料等の支出と支出時の留意点」でした。否認事例として仙台地方裁判所の平成25年10月23日付判決を,認容事例として国税不服審判所による裁決を引用しながら,実務におけるポイントをま…

元支店長逮捕――広島県信用組合詐欺事件。

広島県信用組合の元支店長が顧客の預金を横領していた事件で,2月18日,広島県警に詐欺容疑で逮捕されました。 http://mainichi.jp/articles/20160219/ddl/k34/040/651000c この事件,信用組合が公表したのは,昨年8月28日のことでした。その中で,実際に横…

もう一つのオリンパス事件,和解成立。

www.sankei.com 昨日,お昼のNHKニュースで報じられて,気になっていた和解内容の詳細が明らかになってきました。最初の提訴が2008年2月。いったん,最高裁で判決が確定した(2012年6月)ものの,処遇が改善されないため,同年9月に再提訴に踏…