もう一つのオリンパス事件,和解成立。

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 昨日,お昼のNHKニュースで報じられて,気になっていた和解内容の詳細が明らかになってきました。最初の提訴が2008年2月。いったん,最高裁で判決が確定した(2012年6月)ものの,処遇が改善されないため,同年9月に再提訴に踏み切った原告の浜田正晴さん。内部通報が行われたのが2007年ですから,実に8年以上にわたり,会社と闘ってきたわけです。その強さにはただ頭が下がります。

主な和解内容は,

オリンパスが浜田さんの処遇を改善しなかったことを認める

・今後,不当な人事はしないことを約束

・解決金として1,100万円支払う

・浜田さんの名誉回復のため和解内容を全社員に伝える

などとなっていますが【東京新聞2月19日朝刊「核心」より】,浜田さんが望んでいた「元の職場への復帰」はかなわなかったようです。

 小職は,セミナーや寄稿文などで,不正の早期発見策の決め手としての「内部通報制度の充実」に言及することが大変多いのですが,浜田さんのように,内部通報を理由に不当な処遇を受ける人が後を絶たないようですと,やはり『見て見ぬふり』が横行し,結果的に不正が長期化し,損失も拡大するということになります。消費者庁公益通報者保護法の改正も視野に,検討会を設置し,内部通報者の保護のあり方を検討しているようですが,浜田さんの処遇をめぐる最高裁の判決や今般の和解内容を見ると,やはり,内部通報者を保護しなかった場合の罰則規定を設けない限り,保護は進まないのではないかというのが実感です。

 ただ,上記の記事にも一部引用されていますが,オリンパス広報・IR部による「訴訟が長期に及んでいたこともあり,社内の平常化のために終了できたことに対し,一定の評価をしたいと考えています」との談話【朝日新聞デジタルより】は,どうもいただけません。浜田さんは55歳。働き盛りであった46歳から55歳までの8年以上の期間を,閑職に追いやり,自身が所属する会社と闘わざるを得ない状況に追いやった反省は,どこかで述べられたのでしょうか。

 和解内容の一つである,「名誉回復のための和解内容の全社員への周知」は社長メッセージとして出されるということですが,社外へ流出させると就業規則違反で懲戒なんていう「おまけ」がついてなければいいのですが。

↓ 東京新聞の記事(残念ながら,ネットで読めるのは前文のみです)

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