お布施に対する課税処分(東京新聞より)

昨日の東京新聞特報面の記事(前文のみ無料で閲覧できます)。

www.tokyo-np.co.jp

総持寺に対する税務調査で,東京国税局は,貫主らが受け取っていた献上金は,あくまで宗教法人の収入であり,それを貫主らが個人的に使用していたのであれば,宗教法人からの賞与に該当するため,所得税源泉徴収すべきであったとして,不納付加算税を含めて千数百万円の追徴課税を行った,と報じられています。

一般の事業会社に対する税務調査からすれば,きわめて当たり前の課税処分なのですが,宗教法人では,同じような事例がたくさんあるようです。記事でも触れらている『宗教法人の税務』という国税庁が公表しているパンフレットを見ると,源泉徴収義務に関して12ページが割かれ,全体の半分以上を占めています(平成28年版)。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/h28_shukyo.pdf

そこには,こう記されています。

宗教活動に伴う収入や宗教法人の資産から生ずる収入は、全て宗教法人の収入となります。

したがって、布施、奉納金、会費、献金、賽銭、寄附金、雑収入等は全て宗教法人の収入として宗教法人の会計帳簿に正しく記載する必要があります。

総持寺の顧問税理士がこうしたことを知らなかったとは思えませんが,大本山貫主という高僧に対して,このような税務上の取り扱いを説明し,ご納得いただくことをはばかる気持ちが働いたのかもしれません。

国税庁の2014事務年度の法人税の調査事績によれば,社会福祉法時,,学校法人,宗教法人の源泉所得税調査における非違割合は約70%で,法人全体の約30%と比較して倍以上となっていることが明らかにされいます。1件当たりの追徴税額も,法人全体が223千円なのに比して,公益法人等全体で868千円と4倍近い額になっており,国税庁は,「主要な取組」のひとつに「公益法人等に対する適切な指導」を加えるべきではないか,と感じます。

https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf