「会計不正防史学」企業会計2016年3月号――発売中です。

 ご好評いただいている(のではないかと期待している)中央経済社企業会計」誌上のCFEによる連載企画「会計不正防史学」。3月号の執筆者は,弁護士の平尾覚さん・上島正道さんのお二人。とりあげたのは,フタバ産業株式会社事件。ご記憶の方も多いかと存じますが,会計不正事件をきっかけに連鎖的に不祥事が発生した事案です。

不祥事防止策の前提として,「不正行為を行わないという経営陣の固い決意」が必要であるとのご指摘は,あらゆる不正事案に共通であると,小職も共感いたします。

Accounting(企業会計) 2016年 03 月号 [雑誌]

Accounting(企業会計) 2016年 03 月号 [雑誌]

 

 さて,本号の特集は「福沢諭吉会計学」。編集部は,表紙に写真を配するほどの力の入れようですが,小職の目にとまったのは写真の下に赤字で書かれた「会計監査クライシス――東芝事件はなぜ防げなかったか」でありました。

さっそく読みました。公認会計士協会元会長,東証1部上場会社の元常勤監査役,アナリストの3人が,それぞれの立場から,東芝事件を振り返りつつ,会計監査の在り方を考えるインタビュー記事がまとめられています。読み応えがありました。個人的には,東芝事件は日本の会計監査制度に大きな変革をもたらす可能性があると感じていますが,監査法人のローテーション,監査報酬を証券取引所が支払うといった新たな仕組みを,本気で考える時期に来ているのではないかということが,インタビューからもうかがえました。さらに議論が深まるをことを期待します。