「会計不正事件における当事者の損害賠償責任」【連載第6回】をProfession Journal誌に寄稿しました。

  毎週木曜日は,web情報誌Profession Journalの刊行日です。このところ隔週で連載を続けさせていただいた「(判決から見た)会計不正事件における当事者の損害賠償責任」は,第6回となる今週が最終回。これまで判決の検証を中心に論考を続けてきた損害賠償責任に問われないためのコーポレートガバナンスについて,社外取締役・社外監査役の立場から,考えてみました。

 本稿は大きく3つのパートからなります。

 コーポレートガバナンス・コードなどが要請している社外取締役・社外監査役の積極的な活用とその期待ギャップ。会計監査人を交代させない・交代させられない,わが国も上場会社の状況。そして,日本銀行が提言している「金融機関のガバナンス改革:論点整理」についての検討です。

 日本銀行による「論点整理」は以下のアドレスから読むことができます。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/data/rel170724b1.pdf

 筆者にとって,日本独自の監査役制度を一部否定するかのような,「金融機関のガバナンス改革:論点整理」の内容は衝撃でした。いわゆる3ライン・ディフェンスにおける,内部監査部門の位置づけは,日本企業では社長ないし取締役会直轄というのが当たり前のように論じられてきましたが,「論点整理」では,これを「誤った3線モデル」と批判しています。そのうえで,「正しい3線モデル」として,社外取締役が中心となる監査委員会の指揮命令下に内部監査部門を置くべきであるとしています。

 現在のところ,こうした主張に対して,公益社団法人日本監査役協会は表立った反論等をしていないようですが,今後の論争の行方が注目されます。