「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月連載させてもらっているProfession Journal誌の「会計不正調査報告書を読む」の第111回が公開されました。今回は,大分県農業協同組合(JAおおいた)で発覚した共済約款貸付金の不正取得に関する第三者委員会の調査報告書をとりあげました。

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 JAおおいた,「業務改善命令」を出した大分県知事によれば,「平成20年6月1日発足以降、不祥事に関して業務改善命令と幾度にもわたる報告徴求を発出してきた」ということで,調査報告書でも,過去の不祥事とそれを隠蔽する体質について,批判的な表現が目につき,また,再発防止策でも,コンプライアンスを重視することが強調されておりました。

 詳しくは,記事をお読みいただ生きたいのですが,本事案については,ふたつ,興味深い点がありました。

 ひとつは,第三者委員会による調査中にも新たな不祥事が発覚したJAおおいたは,第三者委員会とは別に「悉皆委員会」を設置して,「不正行為・不適切行為の疑義案件を対象として、事実関係の調査、原因の究明』を行うことを発表しています。こちらの調査結果は,3月末を目途にお知らせする予定ということですので,また,Profession Journal誌に寄稿させていただこうかと思っています。

 もうひとつは,「自爆営業」という言葉です。共済契約取得のノルマに追われた職員が,自身やその親族などの名義で契約を締結した結果,共済掛金の支払のために手取収入が減少していることを揶揄している言葉のようですが農協のノルマの実態を初めて見たようで驚きました(もちろん,すべての農協にノルマがあるとは思いませんが)。

 農協も金融機関としての機能を有している以上,内部統制システムの構築と整備が要求されるのは当然だと思っていたのですが,JAおおいたの事務手続きは,あまりにも容易に不正に金員を取得できるものであったようです。