「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

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 先週,経営破綻が伝えられた株式会社郷鉄工所の経営者による粉飾決算の様子をまとめた調査報告書の解説記事を,Profession Journal誌に寄稿しました。原稿のまとめ作業中に,2回の不渡りを出したことがIRニュースとして公表されていて,びっくりしましたが,再建への道を断念して自己破産申請を行うということになったのは,本ブログでもすでにとりあげたとおりです。

 郷鉄工所のweb siteはすでに閉鎖されているらしく,調査報告書をお読みいただけないのは残念です。

 興味深い点は多々あるのですが,追加調査を行うことを決断した郷鉄工所経営陣は,かねてから付き合いのある企業に調査費用の借り入れを打診,3,000万円の資金提供を受けています。調査依頼を受けた第三者委員会は,この3,000万円を調査着手前に全額預かり,報告書提出後,実際にかかった費用を報酬として受け取り,余った部分は返還することとしていたあたり,資金繰りに不安のある依頼者から仕事を受任するときの債権保全策として,参考になりそうです。

 創業86年になる老舗企業を破綻に追い込んだ直接の原因は,太陽光発電事業への参入でした。「太陽光バブル」なんて言葉も,つい数年前にはありましたが,本業以外で経営を立て直すというのは難しいものだと,本稿でとりあげた調査報告書を読みながら,あらためて思った次第です。