「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 木曜日に公開されたProfession Jounal誌に「会計不正調査報告書を読む」連載第138回を寄稿しました。今回は,東京オリンピックを巡る贈収賄事件の渦中にある株式会社KADOKAWAが設置したガバナンス検証委員会調査報告書をとりあげました。お読みいただければわかるように大部の報告書ではありますが,同じ説明が頻出していますので,ある程度は読み飛ばせるかもしれません。

profession-net.com

 さて,角川歴彦さんは,どれくらい悪いのでしょうか?

 読み終わった後も,実は判然としません。もちろん,ワンマン経営で,周囲は異論を口にできず,歴彦さんに忖度をしていたということはよくわかります。でも,「忖度をされることが罪なのか?」という疑問に対する答えは,報告書にはなかったように思います。安倍元首相の回顧録にも同じような命題があるようですが,周囲が「勝手に忖度している」状況で,忖度されている側に,どのような責任が生じるのか。

 そんなことを考えたのは,ガバナンス検証委員会の委員長の重責を担われた中村弁護士には,スルガ銀行事件の調査報告で,報告に基づいて「懲戒解雇」とした執行役員による解雇無効の訴えで,調査報告書の事実認定がことごとく覆されて,会社側が敗訴したことがあったからかもしれません。たぶん,この事件は控訴されていると思いますので,その後,どうなるかはわかりませんが,外部の調査委員会が限られた時間とリソースのなかで調査した結果が,裁判所によって否定されるような事態が続けば,第三者委員会による調査がデファクト・スタンダードであるような現状は,否定されることになるかもしれません。

 もちろん,調査委員会による報告書を,何の疑いもなく,まっとうな調査が行われた結果に基づくものであると,信用してしまう私たちにも警鐘を鳴らすものであるのだろうと考えています。

 そんなわけで,スルガ銀行事件の調査報告書についても,リンクを張っておきます。

 お時間があれば,ご一読ください。

profession-net.com

profession-net.com

profession-net.com