「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月,web情報誌Proession Journal誌に連載させていただいている「会計不正調査報告書を読む」連載第87回が,昨日,公開されました。

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 今回とりあげた調査報告書は,去る4月11日に公開された株式会社スペースバリューホールディングス社の第三者委員会調査報告書です。190ページに及ぶ長文であること以上に,前代表取締役会長兼社長の交遊関係が詳細に報告されていたことで,公表時に話題になったことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

 第三者委員会は,前代表取締役会長兼社長について,「上場企業のトップとしての自覚に欠け,内部統制に関する問題意識が著しく低いと評価せざるを得ない」と厳しく断じたうえで,その交遊関係についても,「接待交際,反社会的勢力ないし密接交際者との交遊,クラブでの破廉恥行為などの状況も不見識であり,社員や株主に対する責任という観点が欠落している」とまで言い切っています。

 ただ,この前代表取締役会長兼社長に係るガバナンス調査は,もともとは第三者委員会の調査目的ではなく,スペースバリューホールディングス社の不適切なっ経理処理を調査する過程で,前代表取締役会長兼社長の行状や経営姿勢を問題視する声が多数挙がったことから,第三者委員会が件外調査として行ったものでした。

 報告書では,私用携帯電話の受発信記録について集計と分析を行って,前代表取締役会長兼社長が,複数の女性と交遊していることを明らかにしていますが,名称などはマスキングしているとはいえ,公表する調査報告書にここまでの記載が必要なのか,少し疑問に思うところでもありました。