「会計不正調査報告書を読む」Profession Journal誌に寄稿しました。

 毎月,寄稿させてもらっているProfession Journal誌の「会計不正調査報告書を読む」連載第91回が,本日,公開されました。

profession-net.com

 とりあげたのは,関西電力株式会社社内調査報告書です。

 代表鳥s真里役社長,会長を含む20名の経営幹部が,長年にわたり,金品を受け取っていたという大スキャンダルを,関西電力コンプライアンス委員会委員である弁護士と,副社長,常務執行役員らがまとめた本報告書は,昨年9月に完成していながら,取締役会にも報告されないまま,放置され,または隠匿されていたようです。

 昨今の第三者委員会調査報告書は100ページを超えるのが常態となっているように,すべてを読むのは骨が折れる作業ですが,本報告書は,本文20ページの短いものでした。内容について,マスコミやネットでかなり批判されているように,報告書としては,ステークホルダーの疑問に答えるという報告書の役割からは程遠いものであると評価します。

 記事にも書きましたが,調査委員会委員長で弁護士の小林敬氏は,本文の後に2ページの「雑感」を執筆しており,そのなかで,元助役からヒアリングしなかったことについて,「供与者側関係者からの事情聴取が不可能」であった旨を言明していますが,10月2日に行われた記者会見では,生前元助役に聞き取り調査をしていなかったことを追及されると,小林氏は「国税局がしていたはずで,そこまでは思いが至らなかった」と釈明したと報じられており,矛盾しているのではないかとの思いが払拭できません。

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 いずれにせよ,今後は関西電力が設置した第三者委員会がどこまで調査できるかが焦点となります。調査の過程で,どのような報道がなされるのかも含めて,注目していきたいと考えています。