「租税争訟レポート」Profession Journal誌に寄稿しました。

 ほぼ2か月に1回のペースで寄稿させていただいているProfession Journal誌最新号で,連載第42回目となる「租税争訟レポート」が公開になりました。

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 今回のテーマは,法人が取得した太陽光発電設備の「事業の用に供した日」をめぐる国税不服審判所の裁決二例です。太陽光発電設備については,再生可能エネルギーの普及を図るための政策的な租税特別措置が講じられていたためにブームになっていた時期があり,最近の公表裁決事例でも,多く見かけるようになりました。

 個人的には,とりあげた裁決のうち,二つ目の事案について,少し紹介します。

 納税者(法人)は,平成26年3月期末までに太陽光発電設備の設置工事が完了して引き渡しを受けたことから,同事業年度に減価償却費を計上して,法人税の各手申告を行います。実際の発電開始は平成26年10月でした。後日の税務調査で指摘を受けて,平成26年3月期の法人税の修正申告を行うとともに,平成27年3月期に法人税について更正の請求を行います。ところが,原処分庁は更正の請求を認めなかったために,審査請求を行ったものです。

 納税者は,平成26年3月期の修正申告は,減価償却費の過大計上原因であることから,これを翌期である平成27年3月期に減価償却費の超過額として認容されるべきであると主張したのですが,国税不服審判所は,これを一蹴しました。

 その論拠は,平成26年3月期においては,太陽光発電設備は減価償却資産ではない(事業の用に供していない)ことから,計上された減価償却費は,減価償却費の過大計上ではなく,資産として計上すべきところを,償却費として損金の額に算入していたものであるから,損金経理をしていたとは言えないと判示したものです。